価値創造ストーリー

SCROLL

特 集 :「自然」
という資本

持続可能な地球環境を実現するために。今、自然の恵みをひとつの「資本」と捉え、経済的な枠組みの中で価値を評価していくことが求められています。今後、各企業はどのように自然資本と向き合っていくべきなのかを考えてみましょう。

自然資本の損失は企業リスクに 2020年型経営のスタンダードとは

自然資本リスク

2019.3.19

自然資本の損失は企業リスクに 2020年型経営のスタンダードと...

2015年9月、国連サミットにおいて、2030年までの国際社会が目指すべき目標として、「持続可能な開発目標」(SDGs)が採択された。パリ協定では脱炭素社会への移行を掲げ、経済活動も含め、地域と地球規模の持続可能性を目指すことが合意された。日本においても、企業、行政、教育機関など様々なレベルにおいてSDGsで示された社会的課題解決のための統合的な取り組みが進められている。一方、リーマンショック後、急速に資本市場の注目を集めているのがESG投資である。ESG投資は、環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)という3つの視点を投資判断に組み込むもので、投資マネーが潤沢な欧米市場で主流になりつつある投資行動である。こうしたESG投資の流れも後押しし、SDGsを経営戦略に組み込む企業が急増している。 「自然資本」はSDGsの土台 SDGsで示された社会的課題を自社のビジネスチャンスとして捉え、長期的な経営戦略に取り込むためには、SDGs全体を俯瞰し、統合的な取り組みを進める必要がある。そうすることで、一つのプロジェクトで複数の成果を出すことができる可能性があるからだ。そして、SDGsを統合的に思考するための必要条件が、「自然資本」である。この「自然資本」の保全は、下の図にもある通り、経済と社会がサステナブルであるための土台となるもので、他のSDGsの達成を下支えするものだ。 SDGs Wedding Cake原図(Graphics by Jerker Lokrantz/Azote)の考案者:Johan Rockström & Pavan Sukhdevに許諾を得てMS&ADインターリスク総研株式会社が加筆 (不許複製・禁無断転載) 自然の価値の評価 MS&ADインシュアランスグループでは、国内外の事業における自然資本への影響を机上で定量評価するサービスを提供している。事業全体の自然資本への関わりを分析し、また、海外拠点での事業活動やサプライチェーンが、周辺の自然資本にどのような影響を与えているのか、具体的なリスク評価を行っている。 事業活動における持続可能な資源利用 企業のサステナビリティは、まさしくモノ・サービスが生み出される自然資本の持続可能な利用と連動している。例えば、森林破壊ゼロ宣言を出した国であれば、森林破壊を招く資材を使った商品の販売を禁止する法律が掲げられることもありうる。商品の原材料調達先企業が環境保護に対する意識が低いまま採取を続けていれば、その資材から作られた商品も販売できなくなる可能性が出てくるのだ。今後はモノ・サービスそのものだけでなく、原産国やサプライチェーンも含めたビジネスモデルの変革に迫られるだろう。 また、自然資本は無限ではない。無秩序な搾取により資源が枯渇すれば、原材料調達先の国が規制をかけてくる可能性もある。本来ならば水が豊富な地域であるにも関わらず、近隣工場での水の大量使用により、水不足となってしまっている国もある。こうしたリスクに敏感なグローバル企業では、すでに原材料の枯渇を見越して、それに代わる、持続可能な原材料の入手方法を構築する動きを見せ始めた。こうしたリスクマネジメントとしてまず必要なのは、自社の活動に自然からの恵みがどれほど関わっているかを把握するリスク診断だ。 MS&ADインシュアランスグループでは、自然環境への影響が特に大きいと想定される原材料を特定し、優先課題を選定の上、対応方法の検討およびサプライチェーンマネジメントの策定を支援するサービスも展開しており、自然資本を基盤にグローバルに繋がる企業活動を支えていく。また、環境効率や持続可能な資源の利用を促すサプライチェーンマネジメントや生物多様性を向上させる土地利用の提案など、持続可能な資源利用や土地利用に資する各種リスクコンサルティングサービスを提供している。 生物多様性の保全 「自然資本」を取り巻く環境は刻一刻と変化している。特に生物多様性の保全は、会社単体の取り組みでは解決がむずかしい。MS&ADインシュアランスグループでは、2016年7月に、21世紀に向けて金融機関が「自然資本」という考え方を金融商品やサービスの中に取り入れていくことを宣言した「自然資本宣言(Natural Capital Declaration)」の趣旨に賛同し、署名している。 自然資本宣言への署名 自然資本宣言(Natural Capital Declaration) 自然資本宣言への署名 また、生物多様性の保全と生物資源の持続的な利用について、企業が集まり共同研究する「一般社団法人 企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)」の設立(2008年4月)以来、会長会社として活動をサポートしている。JBIBは、国内企業の環境に関する取り組みの参考となるよう、生物多様性に配慮した土地利用のためのガイドラインや生物多様性に配慮した原材料調達のガイド等を作成し、その成果文書を公表している。 生物多様性の保全活動 JBIBのロゴマーク JBIBのロゴマーク こうした多様な主体がパートナーシップを通じて、生物多様性の保全にむけた様々な取り組みを各企業から社会全体へ拡大していくことで、地球規模の「自然資本」の持続可能性向上に一歩近づくことができる。そして、もう一つ。自然が相手の取り組みに必要なのは時間だ。長期間、そして継続的に取り組まなければ成果は出ない。 MS&ADインシュアランスグループでは、インドネシア・ジャワ島のジョグジャカルタ特別州において熱帯林再生プロジェクトを推進、1990年代後半の経済危機時に地元住民の不法伐採により劣化した野生動物保護林の修復と再生を行うため、2005年よりインドネシア政府と連携し、約30万本の植樹を行ってきた。さらに地元住民の経済的自立を目的とした農業技術指導や小学校教師への環境教育活動などを通して、森林の再生と持続可能な地域社会の形成に向けた取り組みも続けている。 インドネシア熱帯林再生プロジェクト

自然の恵みは本当に「タダ」なのか 昭和的経営が見逃してきたリスク

自然資本リスク

2019.3.15

自然の恵みは本当に「タダ」なのか 昭和的経営が見逃してきたリスク

水、風、土、森。私たち人間は、こうした自然の恵みに囲まれて生きている。今、この恵みについての認識を変えようという動きが、グローバル企業を中心に活発化してきている。自然の恵みを企業活動に不可欠な資本と捉える「自然資本」という考え方が広がり出したからだ。自然の恵みを無尽蔵に使いこむと、実際の経済活動に思わぬしっぺ返しを食らう。自然の恵みの損失が経済活動に直接的に与える影響とは、どのようなことがあるのだろうか。  「“昔のアメ車のようにガソリンを沢山使ってガンガン力強く進むのがカッコいい”という考え方から、“電気自動車のように走っても空気を汚さないのがスマート”というようにビジネスモデルを変えなければならない」と話すのはMS&ADインターリスク総研の原口真氏。モノやサービスを効率よく大量に作り、安く売ることでお金を生む経済活動から、社会との共通価値を生み出すビジネスを考える時代へと移行しはじめていると説明する。 「欧米の企業の中にはサプライチェーンの最上流まで自然資本への影響と依存を分析し、対策を始めているところがあります。日本企業はやや出遅れ感が否めません」。自然の恵みの損失が経済活動にもたらす影響は大きく、そこに気づいた企業がいち早くリスクマネジメントとして「自然資本」の考えを経営に導入してきたというのだ。 例えば森。農作物の半分は昆虫の助けで受粉されているというデータがある。農地開拓のために森林を伐採すれば、そこに住む昆虫はすみかを失い、結果として、農作物は十分な受粉に至らずに収穫にも影響が生じる。 現在すでにビジネスリスクが表面化しはじめたのがパームヤシの問題だ。日本にはないパームヤシだが、実は私たちの暮らしの中でなくてはならないものとなっている。それは、そこから採れる油だ。 環境NGOのWWF(世界自然保護基金)によれば、パームヤシから採れる油の利用はここ20から30年の間に急激に拡大、日本でも、パーム油の消費量は菜種油に次いで2番目に多くなっているという。マーガリンやインスタントラーメンを作る際に使う揚げ油など、多くの商品に使われており、生活に欠かせない原材料の一つとなっているのだが、原材料表示には「植物油」としか表記されないことが多いため、消費者には見えにくい。 パーム油の原料となるパームヤシはその85%がインドネシアとマレーシアで栽培されている。大きな収入源になっているため、これまでは大規模なプランテーション農園とともに近くにパーム油を搾る工場が作られてきた。売れる物を売れるだけどんどん作るとの考えで進められた大規模なパームヤシ農園開拓により、熱帯雨林が伐採され、希少な野生生物や昆虫たちが絶滅の危機に瀕している。 また、こうした大規模農園の中には劣悪な労働環境を強いるところもあるため、人権侵害や労働問題にまで発展している。NGOなどの調査によりこの状況が国際社会に認知されはじめると、欧州を中心にパーム油の不買運動が起こり、大きなビジネスリスクを生み出す結果となった。環境破壊や人権侵害を伴う原材料を使用する企業は消費者の批判を浴び、また商品をボイコットされないようにサプライチェーンを変更する必要が出てくるなど、関係企業は複数のリスクを抱えることになったのだ。 自然資本を守る取り組みは、CSRではなく経営戦略 では、パームヤシのような事例が、具体的にどのようなリスクを企業にもたらすのだろうか。例えば、無計画な伐採によって森林が減少し、その結果、木材価格の高騰が起こるといった直接的なリスクは分かりやすい。これは、すでにクロマグロやウナギといった水産物でも起こっている。原材料のほとんどをグローバルなサプライチェーンを通して入手している日本企業にとっては死活問題だ。原材料の価格高騰の原因は、直接的な資源の枯渇だけに留まらない。近年、環境意識の高まりを受け、さまざまな国で自然資源保護のための規制が強化されている。もし、使用している原材料が、調達国で規制の対象となれば、その量が不足するのは明らかだ。さらに、それらの規制動向を把握していなければ、関連法に適合せず罰金を課される恐れもあるだろう。 また、社会的な評判も、企業のリスクとなることを忘れてはならない。資源開発による直接的な環境破壊に批判が集まるのはもちろんだが、それによって、開発途上国の人々の暮らしに悪影響が及んだり、そこに生息する野生生物を絶滅の危機に追い込んだりした場合にも、NGOなどによる批判の対象となる可能性がある。このようなリスクは、インターネットによってグローバルな情報共有が容易になったことで、サプライチェーンのどの段階にある企業にも発生するようになってきている。そして、軽視できないのが、世界的なESG投資拡大の流れだろう。環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)に配慮した企業経営は、持続性・安定性・健全性を備え、有望な投融資対象になるという考え方が世界的に広まりつつある。このような状況の中、自然資本リスクをないがしろにする企業からESG投資家が離れていってしまうのは、もはや必然と言えるだろう。 昭和のビジネスの終焉 「昭和型のビジネスというのは、社会や環境の問題は基本的に行政が考えることで、経営者にその問題を考える責任は負わされてこなかった。資金さえあれば資源は自由に調達できたし、少々酷使してもへこたれない若い労働力も沢山あった。しかし、これを続けてきた結果、気候変動、自然環境破壊や社会の格差が拡大し、経営にも直接的に影響のあるリスク(気象災害の増加、資源の枯渇、保護主義の台頭、少子化による人手不足)が生じるようになっているのです。」 UNEP(国連環境計画;United Nations Environment Programme)が主導し、2010年に報告された「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」プロジェクトの最終報告書には、消費者による商品・サービスの購入、企業経営、政策立案など、ありとあらゆる意思決定の場面で自然からの恵みを将来的に受け続けることができるように配慮することが不可欠だという言葉が盛り込まれた。これを契機としてビジネスの世界で「自然資本」という用語が使われるようになった。2013年には、企業の統合報告のガイドラインである国際統合報告評議会(IIRC)の「国際統合報告フレームワーク」においても「自然資本」概念が導入されるなど、世界の「自然資本」に対する意識は確実に高まりを見せている。 国際的なサステナビリティの潮流にやや乗り遅れ気味の日本企業、力ずくで押し進む昭和のビジネスモデルを引きずる企業も少なくない中で、世界が注目する「自然資本」を考慮した21世紀型の経営にどこまで追いついていくことができるかが、今後の課題となりそうだ。 プロフィール 原口真(はらぐち まこと)氏MS&ADインターリスク総研株式会社 マネジメント第三部 環境・CSRグループ マネージャー・上席研究員 産学官公民金連携・特命共創プロデューサープラント・エンジニアリング企業勤務を経て、1996年三井住友海上火災保険株式会社に入社し、現職に出向。以下のテーマを担当し、数多くのオープン・イノベーション・プロジェクトに携わっている。 ESGリスクマネジメント(気候変動、自然資本、人権) グリーンレジリエンス(自然資本を活用した防災・減災と地方創生・地域創生) 都市と生物多様性に資する企業緑地の管理・活用およびその評価 参考文献 WWF環境省 平成26年版 図で見る環境・循環型社会・生物多様性白書 詳しい調査研究結果をご覧になりたい方はこちら MS&ADインターリスク総研HP

特 集 :人生100年
時代の入口

2030年代に人口の約3人に1人が65歳以上になる日本。すべての人が生涯を通して健やかに暮らせる社会を実現するために、「健康寿命の延伸」という課題に向けて、今何ができるのかを探ります。

超高齢社会

2019.1.30

人口の3人に1人が高齢者になる時代。高齢者の幸せと、社会の幸...

平日の住宅街。犬の散歩を楽しむ初老の夫婦。杖をお供に買い物に出かける女性、何気ない町の光景にも高齢化の波を感じる。事実、日本の高齢化率は先進国でトップを走る。世界中がまだ経験したことのない超高齢社会を幸せな社会にしていくために、今、私たちには何ができるのだろうか。 内閣府が昨年発表した「高齢社会白書」では、2040年代には高齢者が約4000万人になるという試算が示された。2042年には高齢者人口は減少傾向へと転じるが、出生率が上がらなければ、高齢者数が出生数を上回るため、高齢化率の下げ止まりの見込みは薄い。 内閣府の発表によると、2040年には人口の約35%が高齢者になると予測されている。 内閣府の発表によると、2040年には人口の約35%が高齢者になると予測されている。 そんな中、課題として頻繁に取り上げられているのが、経済活動の担い手である労働力人口の不足だ。人口急減・超高齢化という現状の流れが変わらなければ、2014年時点で6,587万人いた労働力人口が、2030年には5,683万人まで減り、さらに2060年には3,795万人※1へと加速度的に減少することが予測されている。急激に労働力人口が減少すれば、人手不足による企業の生産性の低下は避けられない。さらに、労働力人口の急速な減少が国内市場の縮小をもたらすと、日本の投資先としての魅力が低下し、国の成長力も下がっていく。加えて、労働力不足を補うための長時間労働が更に深刻化し、ワーク・ライフ・バランスが悪化することで、少子化が更に進行するというマイナスのスパイラルに陥る可能性も指摘されている。 労働力人口の低下という面を考えた時に、介護問題も無視できない。総務省が出している「就業構造基本調査結果」によると、2017年に介護・看護を理由に離職した人の数は9万9100人に上る。2040年には、高齢者の約4人に1人※2が要介護となるという試算もある中、「働く」と「介護」を両立できる仕組みづくりは、国だけでなく各企業も取り組んでいかなくてはならない課題だ。 社会から個人の問題へと目を移してみると、経済不安という問題が浮かび上がってくる。生命保険文化センターが約4000人を対象に行った生活保障に関する調査の中で、将来に想定しているライフイベントと経済的準備の状況について聞いたものがある。「車などの耐久消費財の購入」や、「結婚、再婚」、「子どもの教育」、「考えていることはとくにない」など11の選択肢を提示したところ、最も回答数を集めたのが「老後生活の充実」(36.8%)。老後の生活に対する不安の内容についての調査では、「公的年金だけでは不十分」との回答が80.9%と不安要因の1位となった。しかし、老後保障としての個人年金保険の加入率を見てみると、個人年金に限らず、年金共済を含めて見ても加入率はわずか2割。老後に対しての関心は高いがアクションは起していないという感覚と実体のズレが見える結果が出ている。 一方、最も不安な生活上の不安項目を見てみると、「自分が病気や事故にあうこと」への不安がトップとなった。医療保障に対する私的な準備状況では共済含む疾病入院給付金が支払われる生命保険の加入率は7割を超え、こちらはリスクに対する備えに対し、人びとが具体的な行動を起こしていることが分かった。 将来において重視するライフイベントを尋ねたところ、「老後生活の充実」という回答が最も多いという結果になった。一方で、「老後生活の充実」に向けた「準備ができている」と応えた人は、半数以下の41.0%に留まる。 将来において重視するライフイベントを尋ねたところ、「老後生活の充実」という回答が最も多いという結果になった。一方で、「老後生活の充実」に向けた「準備ができている」と応えた人は、半数以下の41.0%に留まる。 高齢化が進めば健康リスクは当然増える。高齢者の場合、一度入院してしまうとそこから寝たきりへと介護度が進む可能性もあるだろう。そうなれば、入院介護費は膨らむばかりだ。企業経営においてもリスクマネジメントについてはいくつかの手を考えておくことが常識だが、長寿が進む日本の場合、人間の人生についても同じことが言えるのではないだろうか。医療保障に老後の備えはもちろんだが、もう一つ、個人が今日からでもはじめられる準備がある。それが「健康」だ。 出典:厚生労働省(2018年)「第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会」 出典:厚生労働省(2018年)「第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会」 「平均寿命」は年々伸びる日本だが、健康上の問題で日常生活が制限されず生活ができることを指す「健康寿命」と比べると、その差は大きく、男性で約9歳、女性では約12歳の開きがある。高齢者個人としての経済状況の改善はもちろん、労働力人口の不足という側面から見ても、「平均寿命」と「健康寿命」の差を縮め、高齢者が、いきいきと活動できる状況をつくっていく必要があることは明確だ。では、そのためにできることは何だろうか。MS&ADインシュアランスグループは、日本に暮らす全ての人々が活力あふれる未来を過ごせるよう、健康づくりのための情報の収集と発信を行なっている。全国の自治体の取り組みの紹介や、健康寿命延伸産業に関する情報の提供、高齢社会に対応した保険商品の開発など、人びとを支えるための取り組みを様々な角度から進めている。 ※1 内閣府「選択する未来 –人口推計から見えてくる未来像-」(2015年)より ※2 内閣府「平成30年版高齢社会白書」で予測されている2040年の高齢者数3,920万人と、経済産業省「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会 報告書」(平成30年)で予測されている2040年の要介護認定者数988万人の比率から算出 参考 平成30年版高齢社会白書 内閣府 生命保険文化センター調査

セカンドライフの充実 鍵は“健康寿命”

超高齢社会

2019.2.19

セカンドライフの充実 鍵は“健康寿命”

「人間五十年、下天の内をくらぶれば夢幻のごとくなり」幸若舞「敦盛」の一節はあまりにも有名だが、いまやその倍となる「人間100年」の時代を迎えている。実際に人々の寿命は延びており、労働年数も長くなった。一昔前、定年と言えば当たり前のように55歳を意識したが、今は65歳定年を導入する企業も増え、医療の専門家の間では「高齢者」と呼称する年齢定義の見直しを呼びかける声も上がっている。 出典:内閣府「平成30年版高齢社会白書」における日本の「平均寿命の推移と将来推計」 出典:内閣府「平成30年版高齢社会白書」における日本の「平均寿命の推移と将来推計」 100年時代のセカンドライフ 定年は引き上げられたものの、人生100年時代を見越して、50歳で会社を退職、転職して新しい生き方をはじめる動きも出ている。寿命が延びたことで人生の選択、節目の回数が少し増えてきているのだ。だが、働き続けて幸せなセカンドライフを送るには、健康であることが大切だ。 平成26年版の厚生労働白書によると、普段から健康に気をつけている人の割合は若い人ほど低く、健康のために積極的に何かを行なっている人や、生活習慣に気を付けていると答えた人の割合を見てみると、20歳から39歳では44.8%と半数に届かない。続く40歳から64歳を見てもその割合はさほど変わらず、49.8%。65歳以上となってやっと過半数を超える結果に。しかし、健康は若い時からのケア不足が後々に響くことも多いため、調子の良い時から心掛けるのが肝心だと忠告する専門家もいる。責任世代の健康被害は家族だけでなく、社会への影響も大きい。 出典:厚生労働省政策評価官室委託「健康意識に対する調査」(2014年) 出典:厚生労働省政策評価官室委託「健康意識に対する調査」(2014年) まずは、「病気にならない」をサポートすることから こうした人々の健康意識を高めるため、MS&ADインシュアランスグループでは、ココロとカラダの健康づくりをサポートするスマートフォン向けのアプリ「ココカラダイアリー」を提供している。このアプリを使えばストレス状態の測定や、歩数の自動測定が可能。また、歩数から計算した消費カロリーの表示や、食事や体重、血圧、睡眠時間の記録、医療情報の確認ができる。 最近では、企業の「健康経営」への関心が高まっている。アプリを使えば社員の健康管理や保健指導に役立てることも可能なため、企業経営のパートナーとしても活用されている。 ココカラダイアリー(三井住友海上、三井住友海上あいおい生命) また、社員や代理店を通して「バーチャル・リアリティ(仮想現実、以下VR)」を使った医療技術、病気、認知症に関する情報提供もはじめている。国内生保初となるこの取り組みは、スマートフォンで再生したVR映像を顧客に見せて体験してもらうというもの。陽子線治療の医療施設見学、白内障の症状、分子標的薬治療の世界、認知症の症状の一人称体験のVR映像を視聴することができる。 国内生命保険業界初「バーチャル・リアリティ」で先進医療関連の情報提供を開始(三井住友海上あいおい生命) バーチャル・リアリティ(VR)で認知症の一人称体験の提供を開始(三井住友海上あいおい生命) 超高齢社会の中で、暮らしの安心もサポート この時代、高齢者だけで暮らす世帯も増加している。親族が離れて暮らす場合は心配も増すものだ。こうした日常生活の心配事を軽減するため、対象保険加入者に対して家具の移動や電球の交換といった日常のちょっとした手助けが受けられるサービスや、保険加入者と連絡が取れない場合に保険会社から親族へ連絡する「親族連絡先制度」など、日常生活から緊急時に至るまで、高齢者とその家族が安心して暮らせるようサービス内容の充実を図っている。 GK すまいの保険グランド(三井住友海上) タフ・住まいの保険(あいおいニッセイ同和損保) また、介護などが必要になってしまった場合に備えることも、重要な高齢化対策だ。「終身介護・認知症プラン」では、介護、認知症、死亡に関する保障が一生涯続くほか、認知症一時金を受け取れるものもある。 &LIFE 終身介護・認知症プラン(三井住友海上あいおい生命) 出典:厚生労働省保健局「医療保険に関する基礎資料 〜平成23年度の医療費等の状況〜」(平成25年12月) 出典:厚生労働省保健局「医療保険に関する基礎資料 〜平成23年度の医療費等の状況〜」(平成25年12月) 「人生 100 年時代」にむけて 一方、セカンドライフを健やかに暮らすためには、資産寿命(金融面の制約がなく生活できる期間)を延ばすことで、経済的な安心を得ることも必要不可欠だ。MS&ADインシュアランスグループでは、公的年金を補う自助努力型の資産形成の手段として、長期の生存給付ニーズに応えた個人年金商品を販売している。健康寿命とともに資産寿命についても、今から考えておくことは必要なことだ。 通貨選択型定額個人年金保険(受取重視型)(三井住友海上プライマリー生命) また、2015年の相続税・贈与税の税制改正を受けて、金融商品を活用した相続や贈与対策への関心がより高まっている。生存給付金をつかって大切な家族へ資産を上手につなぐことができる保険商品も出てきた。「人生100年時代」では資産を「増やす」、「使う」だけでなく、上手に「つなぐ」ことができるように備えることも大切だ。 通貨選択型特別終身保険(三井住友海上プライマリー生命) MS&ADインシュアランスグループでは、健康医療分野における学術的な取り組みと連携を図り、新たな技術やイノベーションの開拓にも務めている。「東京大学センター・オブ・イノベーション(COI)自分で守る健康社会拠点」や、「大阪大学クロスイノベーション・イニシアティブ」などと提携、各種疾患に対する積極的な予防策から万が一、病気になってしまった場合の生活サポート、分野を超えた未来型医療の開発など、持続可能な健康長寿社会づくりに関する取り組みに協力、貢献をはじめている。 参考文献 「健康寿命の延伸に向けた予防・健康インセンティブの強化について」 平成30年10月経済産業省作成資料 三井住友海上HP あいおいニッセイ同和損保HP 三井ダイレクト損保HP 三井住友海上あいおい生命HP 三井住友海上プライマリー生命

特 集 :日常化する
異常気象

猛暑日のつづく夏。頻発する巨大台風。交通機関を麻痺させる豪雪。地球温暖化の影響は、異常気象という形で現れはじめています。もし温暖化を止められなければ、この先に何が待っているのか。立ち向かうべきリスクに目を向け、私たちが起こすべきアクションを考えていきます。

「本当に地球が危ない」。世界の研究者が認識する危機的状況とは?

異常気象

2018.12.19

「本当に地球が危ない」。世界の研究者が認識する危機的状況とは...

何かにつけて平成最後の年と言われた2018年、身の危険を感じるほどの水害に見舞われる機会が頻発した。そして10月、危機感を煽られる新たな報告も発表された。2030年には地球の気温が1℃上昇するというのだ。気候変動がひとたび進めば、今回どころではない被害が地球規模で発生する。ゲリラ豪雨や大型台風の多発、局地的な「どか雪」など、これまでは“大丈夫”とされてきた地域も油断はできない。しかし、人間はまだ、「いい方の未来」を選択できる所に立っている。四方を海にかこまれた小さな島国の日本にとって、気候変動は国土を失う死活問題、この瀬戸際の選択が、未来を大きく左右するのだ。 破壊的な気候変動のシナリオは「遠い未来の話ではなく、現実味を帯びてきた」と話すのはMS&ADインターリスク総研株式会社マネジメント第三部 環境・CSRグループ 上席研究員の寺崎康介氏。このままいけば最悪の場合、2100年には気温は4℃上昇し、海面上昇の影響から、水没する地域も出てきてしまう。緑豊かな地球を子どもたちに受け継ぐには、「今の決断が大きな影響を与える」と分析する寺崎氏、「いい方の未来」を選ぶために、今できることとはなんだろうか。 産業革命以来、気温はすでに1℃上昇、このままCO2の排出を続ければ、気温上昇は益々加速し、100年に一度と言われる大規模な洪水被害は頻発、大型の台風が発生する確率も上がるという予測があります。観測データの充実や気候や洪水モデルなどの進歩により、精度の高い予測が行われるようになり、これまでは立証の難しかった温暖化と異常気象の結びつきが、具体的な事象について分析されるようになってきました。例えば、今年の熱波。気象研究所の今田由紀子先生や国立環境研究所の塩竈秀夫先生をはじめとする研究グループは、もし温暖化がなければ今年のような異常高温が発生する可能性は、ほぼ0%であるという分析結果を具体的に示しました。一方で、これまでの温暖化を考慮すると、今年の熱波の発生確率は約20%だということです。つまり今年の熱波は、温暖化に起因するものと言えます。温暖化が進めば、今の地球の状態を保つことができなくなるのは明らかです。 国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書(2014年発表)によると、温室効果ガスであるCO2の濃度を最悪のケースで想定した「RCP8.5」モデルでは、2100年に4℃程度気温が上昇すると予測されている。 このまま温暖化が進行した場合、中国北部などでは、湿球温度が人の生存限界を超える35℃※1近くとなる熱波が頻繁に襲う可能性があるとの論文も最近、公表されました※2。 パリ協定では、気温の上昇を産業革命前と比較して2℃未満に抑えようとの目標値が掲げられましたが、仮に上昇を2℃で抑えたとしても、影響がないわけではありません。例えば2℃上昇のシナリオにおいて、バンコクなどを流れるチャオプラヤ川では、20世紀末に100年に1回程度の頻度で生じる規模の洪水(100年洪水)が、21世紀末には30から50年に1度という頻度で発生するとも言われています。しかし4℃上昇した場合は、その何倍もの頻度になります※3。つまり気候変動を緩和しつつ、適応も進めることが重要です。 温暖化の影響で海面が上昇することも指摘されており、日本では大阪湾、伊勢湾、東京湾などの地域で、海水面が上がることによって、ゼロメートル地帯に位置する人口が大幅に増えると分析されています。その結果、高潮による浸水被害が増大する恐れがあると言われています。 IPCCの第5次評価報告書による地球の海面水位の変化予測。RCP8.5シナリオでは、2100年に最大で82cmも海面水位が上昇すると予測されている。 ※複数の気候予測モデルに基づく予測データ1986〜2005年の平均値を0.0とする ※赤はRCP8.5、青はRCP2.6の予測、陰影は、個々のモデルの年平均値の標準偏差の範囲を示す ※グラデーション(青)は、各RCPシナリオに対して、2081-2100年の平均がとる可能性が高い値の範囲を示す いずれにしても、これらは全て、地球の温暖化、気候変動がもたらすことですから、世界規模での対策を考えていかねばなりません。このままでは「本当に地球は危ない」というのが、世界の大部分の政策関係者や研究者たちの共通の認識です。 MS&ADインシュアランスグループでは、東京大学、芝浦工業大学と共同で、気候変動による洪水リスクに関する研究をはじめました。気候変動が世界の洪水被害にもたらす影響について予測や分析を行い、情報を積極的に公開することにしています。その一環として作成した「気候変動による洪水頻度変化予測マップ(LaRC-Flood®)」は、HPで閲覧できます。こうした気候変動にまつわる情報は、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)などの国際機関や環境省、国の研究機関からも多く発信されています。まずは、信頼のおける情報源からデータを集め、危機管理の方策を考えることが大切です。国が定めた26%というCO2の削減目標に留まらず、個人、企業が「いい方の未来」を手にするために、より高い削減目標を掲げて取り組まなければ、なりません。再生可能エネルギーなどの低炭素・脱炭素技術の開発や活用など、「いい方の未来」に向けての積極的な取り組みが必要とされています。 プロフィール 寺崎康介氏 MS&ADインターリスク総研株式会社マネジメント第三部 環境・CSRグループ 上席研究員 2009年にインターリスク総研(現MS&ADインターリスク総研株式会社)に入社。 気候変動リスク、水リスク、自然資本リスク、持続可能な調達について、リスク評価手法の開発やそれらを用いた企業向けコンサルティングを行う。 ※1 例えば気温約40℃、湿度72%で湿球温度が約35℃になる。湿球温度が35℃を超えると人間の体の冷却能力を越え、長時間屋外で生きることは困難と言われる。 ※2 Kang S and Eltahir, E. A. B. “North China Plain threatened by deadly heatwaves due to climate change and irrigation”, Nat Commun. 2018 Jul 31;9(1):2894. doi: 10.1038/s41467-018-05252-y. ※3 Hirabayashi Y, Mahendran R, Koirala S, Konoshima L, Yamazaki D, Watanabe S, Kim H and Kanae S (2013) Global flood risk under climate change. Nat Clim Chang., 3(9), 816-821. doi:10.1038/nclimate1911. 詳しい調査研究結果をご覧になりたい方はこちら MS&ADインターリスク総研HP

気候変動によって暮らしを左右されない社会をめざして。

異常気象

2018.12.19

気候変動によって暮らしを左右されない社会をめざして。

進む温暖化と気候変動。 また新たな言葉が出現した。「環境難民」。事象が現れると生み出される新語だが、気候変動の影響から暮らす土地を失い、移住を余儀なくされる人々が出てきているのだ。世界中から観光客が集まるモルディブ、楽園と評されてきた島国が、気候変動の影響で危機に直面している。2002年あたりから海面上昇による被害が顕著化し、海抜の低い土地ではすでに水没がはじまっているというのだ。水没で土地を失った人々が難民となり、他の土地へと逃れる状況は今も続いている。 日本も他人事ではいられない。気候変動による影響は、海面上昇だけでなく、ゲリラ豪雨や局地的な“どか雪”、熱波、干ばつなど、さまざまな異常気象を引き起こす。日本でも、2018年は多くの水災に見舞われた。自然災害による保険金の支払い件数は、東日本大震災を上回る結果となり、被害の甚大さが伺えた。また、課題も見え始めている。ニュースでは、川と化した道路を流れる車の映像をよく目にしたが、自動車保険に加入していても、車両補償の付帯を外してしまっていたがために、保険が適用されない事例が多くあったのだ。家屋の修繕、車の修理費用がかさみ、日常を取り戻すまでに時間がかかる家庭もみられた。そして、企業もまた、大きな損害を被るケースも出てしまった。企業活動が止まれば、それだけ社会へのインパクトも大きくなる。 ※1 「地震保険世帯加入率」:2017年度末時点の保険証券の件数を住民基本台帳の世帯数で除した数(2017年度時点) 出典:損害保険料率算出機構 ※2 都道府県別の火災保険に対する水災補償付帯率(2015年度時点) 出典:損害保険料率算出機構の資料を基に内閣府作成 どうしたら、リスクを最小限に抑え、日常をいち早く取りもどすことができるのか、MS&ADインシュアランスグループでは、この問いに対する答えとして、災害を未然に防ぐための方策と、災害が起きてしまったときのリカバリー力の強化、この二つを軸に対策をはじめている。攻守混合の取り組みをいくつか紹介したい。 備えの見直しを周知 6月に起きた「大阪府北部地震」や、各地を襲った「平成30年7月豪雨」では、多くの人々が被害に見舞われた。これらの水災は、ニーズの増えていた地震に対する補償に加えて、水災への関心を高めるきっかけともなった。自然災害から日常を守るための保険としては、火災保険が有名だが、今回の被害では、水災補償を対象外としていたがために、守りきれないケースが散見されたのだ。復旧格差の分け目となった水災補償。豪雨や暴風雨、台風等による洪水・高潮・融雪洪水・土砂崩れといった被害に対する補償は、水災補償がなければ受けとることができない。 自動車保険の場合では、車両保険を外していると、水災での車の故障や廃車の場合の補償を受けることができないのだ。気候変動のあおりをうけて、地域によっては事故に遭う確立よりも、自然災害に見舞われる確立の方が高まるエリアもありそうだ。夏に起こった悲しい事態を踏まえ、MS&ADインシュアランスグループでは、お客様を守りきるために、保険の見直しに力をいれはじめている。例えば、水災への備えを分かりやすく説明した専用のチラシを作成、各地域のハザードマップなども加味しながら加入保険の適用範囲の確認、見直しを進めている。 浸水シミュレーションの分析結果サンプル 浸水シミュレーションの分析結果サンプル また、農業や畜産業などの第一次産業に従事する人々にとっては、予想外の天候不順も災害に匹敵するほどの損失を生む原因となりかねない。農作物の不作や家畜の成長不良・出荷不良といった事態にも対処できるよう、天候不順によって生じる財務上の損失を軽減するため、天候デリバティブの販売・普及にも取りくんでいる。天候には国境や切れ目はない。地球全体の問題だ。世界の天候リスクを扱うために、MS&ADインシュアランスグループでは100%子会社の「MSI GuaranteedWeather社」と連携、NASA等の衛星を使った精度の高い観測データを基に、グローバルな天候リスクへのソリューションを提供している。 減災からみたまちづくり。 集中豪雨による河川の氾濫は未だその爪痕を残している。都市部では、行き場をなくした雨水が地下に溜りすぎ、噴出した水の力でマンホールが宙に浮く現象も現れた。集中豪雨により土砂崩れが引きおこされ、家屋を失った人々の中には、いまだ仮設住宅で正月を迎える人々もいる。日本だけでなく、アジア各地でみられた異常気象による災害を前に、減災についての意識の高まりが見られるようになってきた。世界では、災害を最小限に抑えるための研究が脚光を浴びている。河川の氾濫や土砂災害を減らす方法は、まちづくりとも密接に関わるため、自治体からの視線も熱い。 例えば、里山の整備。木々が根をしっかりと張る里山では、地盤が安定するため豪雨の時でも土砂崩れの発生を抑える働きが生れるというのだ。このように、MS&ADインシュアランスグループでは、大学、研究者などと連携し、自然の恵みを活かしながら防災・減災と同時に産業振興を行う「グリーンレジリエンス」の普及、情報発信に努めている。防災対策に力を入れる浜松市とは天竜美林を活用した産業振興や、都市の強靭化を通じて、地方創生を実施することを目的に全国初となる「グリーンレジリエンスの推進に関わる連携・協力協定」を結んだ。 被害を最小限に食い止めるBCPの普及。 個人の日常を守るためには、企業を守ることも必要だ。企業が倒れれば、そこで働く人はもちろん、取引先などへの影響も大きく出てしまう。非常時にいかに事業を継続できるか、対応の実効性を高めるための取り組みの一つ、BCP(Business Continuity Plan)の策定と、継続的な訓練の取り組みが求められるようになってきた。国内での意識が高まり出したのは2007年に起きた新潟県中越沖地震。激震が襲ったのは一部の地域だけだったにも関わらず、経済活動への被害は甚大なものとなってしまった。自動車のエンジン部品を供給する会社の工場が震災に見舞われた結果、部品の供給が滞り、納品先の自動車会社の工場が操業できない事態が引き起こされた。これが教訓となり、サプライチェーンのマネジメント(SCM)は事業継続に欠かせない要素として、一気に注目が高まった。 自分たちで必要性に気がつき、BCPプランを策定する会社もあれば、取引先からの要請により、BCP策定に乗り出す会社も出てきている。最近は、契約時の条件としてBCPの策定を要請するところもあるからだ。もはや、備えは取引先への安全を示す一つの指標。経営戦略と捉えて取り組む会社も増えている。このような状況を踏まえて、MS&ADインシュアランスグループでは、BCPプラン策定のための支援をはじめている。受発注、資材の調達や在庫の管理、配送計画など、災害時のリカバリー力を高めるためのコンサルタント事業を行なっている。また、BCPはお題目のように置いておくだけでは意味がない。プランを策定した企業が自分たちでBCP訓練を継続的にできるよう「自走化」の支援も実施している。 BCPセミナーの告知チラシ BCPセミナーの告知チラシ すべては、リスクを正しく知ることからはじまる。 こうした取り組みの基盤となっているのが、気候変動リスクの評価・分析に関する取り組みだ。MS&AD インシュアランスグループとMS&ADインターリスク総研は、東京大学と芝浦工業大学とともに気候変動研究プロジェクトに参画し、「気候変動による洪水頻度変化予測マップ(LaRC-Flood®)」を公開している。このような試みは、洪水だけにとどまらない。米国大手自然災害リスク評価専門会社と共同で開発した「津波モデル」を用いて従来の「地震リスク分析」に「津波による被害」を加えたコンサルティングを提供することや、株式会社ウェザーニューズと提携し、損保業界初となる「気象情報アラートサービス」の提供も実施。また、いち早くリスクを見つける取り組みに力を入れる一方で、それらの周知を図るべく、気候変動とSDGsをテーマとしてシンポジウムなども積極的に展開している。 気候変動による洪水頻度変化予測マップ(LaRC-Flood®) 一方で、そもそも地球温暖化の進行に歯止めをかけることができれば、懸念されているリスクは格段に小さくなるのも事実だ。そのため、MS&ADインシュアランスグループでは、太陽光・風力・バイオマス・水力といった再生可能エネルギー事業を取り巻くリスク評価やコンサルニーズに対応した各種サービスと情報の提供により、クリーンなエネルギーの普及にも力を入れている。また、これらの事業者をリスクから守るため、財物損害、利益損失、賠償責任など、総合的に補償する各種保険商品の販売をはじめた。リスクを軽減するための取り組みを全方位的に進めるMS&ADインシュアランスグループ。日本ナンバーワンの損保グループとして、リスクの先の先までを考え、一歩先行くガード策を示し続けている。 MS&ADインシュアランスグループの取り組みについて 詳しい調査研究結果をご覧になりたい方はこちら MS&ADインターリスク総研HP

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