気候変動によって暮らしを左右されない社会をめざして。

異常気象

2018.12.19

気候変動によって暮らしを左右されない社会をめざして。

進む温暖化と気候変動。

また新たな言葉が出現した。「環境難民」。事象が現れると生み出される新語だが、気候変動の影響から暮らす土地を失い、移住を余儀なくされる人々が出てきているのだ。世界中から観光客が集まるモルディブ、楽園と評されてきた島国が、気候変動の影響で危機に直面している。2002年あたりから海面上昇による被害が顕著化し、海抜の低い土地ではすでに水没がはじまっているというのだ。水没で土地を失った人々が難民となり、他の土地へと逃れる状況は今も続いている。

日本も他人事ではいられない。気候変動による影響は、海面上昇だけでなく、ゲリラ豪雨や局地的な“どか雪”、熱波、干ばつなど、さまざまな異常気象を引き起こす。日本でも、2018年は多くの水災に見舞われた。自然災害による保険金の支払い件数は、東日本大震災を上回る結果となり、被害の甚大さが伺えた。また、課題も見え始めている。ニュースでは、川と化した道路を流れる車の映像をよく目にしたが、自動車保険に加入していても、車両補償の付帯を外してしまっていたがために、保険が適用されない事例が多くあったのだ。家屋の修繕、車の修理費用がかさみ、日常を取り戻すまでに時間がかかる家庭もみられた。そして、企業もまた、大きな損害を被るケースも出てしまった。企業活動が止まれば、それだけ社会へのインパクトも大きくなる。

進む温暖化と気候変動。 進む温暖化と気候変動。
  • ※1 「地震保険世帯加入率」:2017年度末時点の保険証券の件数を住民基本台帳の世帯数で除した数(2017年度時点) 出典:損害保険料率算出機構
  • ※2 都道府県別の火災保険に対する水災補償付帯率(2015年度時点) 出典:損害保険料率算出機構の資料を基に内閣府作成

どうしたら、リスクを最小限に抑え、日常をいち早く取りもどすことができるのか、MS&ADインシュアランスグループでは、この問いに対する答えとして、災害を未然に防ぐための方策と、災害が起きてしまったときのリカバリー力の強化、この二つを軸に対策をはじめている。攻守混合の取り組みをいくつか紹介したい。

備えの見直しを周知

6月に起きた「大阪府北部地震」や、各地を襲った「平成30年7月豪雨」では、多くの人々が被害に見舞われた。これらの水災は、ニーズの増えていた地震に対する補償に加えて、水災への関心を高めるきっかけともなった。自然災害から日常を守るための保険としては、火災保険が有名だが、今回の被害では、水災補償を対象外としていたがために、守りきれないケースが散見されたのだ。復旧格差の分け目となった水災補償。豪雨や暴風雨、台風等による洪水・高潮・融雪洪水・土砂崩れといった被害に対する補償は、水災補償がなければ受けとることができない。

自動車保険の場合では、車両保険を外していると、水災での車の故障や廃車の場合の補償を受けることができないのだ。気候変動のあおりをうけて、地域によっては事故に遭う確立よりも、自然災害に見舞われる確立の方が高まるエリアもありそうだ。夏に起こった悲しい事態を踏まえ、MS&ADインシュアランスグループでは、お客様を守りきるために、保険の見直しに力をいれはじめている。例えば、水災への備えを分かりやすく説明した専用のチラシを作成、各地域のハザードマップなども加味しながら加入保険の適用範囲の確認、見直しを進めている。

備えの見直しを周知
浸水シミュレーションの分析結果サンプル
備えの見直しを周知
浸水シミュレーションの分析結果サンプル

また、農業や畜産業などの第一次産業に従事する人々にとっては、予想外の天候不順も災害に匹敵するほどの損失を生む原因となりかねない。農作物の不作や家畜の成長不良・出荷不良といった事態にも対処できるよう、天候不順によって生じる財務上の損失を軽減するため、天候デリバティブの販売・普及にも取りくんでいる。天候には国境や切れ目はない。地球全体の問題だ。世界の天候リスクを扱うために、MS&ADインシュアランスグループでは100%子会社の「MSI GuaranteedWeather社」と連携、NASA等の衛星を使った精度の高い観測データを基に、グローバルな天候リスクへのソリューションを提供している。

減災からみたまちづくり。

集中豪雨による河川の氾濫は未だその爪痕を残している。都市部では、行き場をなくした雨水が地下に溜りすぎ、噴出した水の力でマンホールが宙に浮く現象も現れた。集中豪雨により土砂崩れが引きおこされ、家屋を失った人々の中には、いまだ仮設住宅で正月を迎える人々もいる。日本だけでなく、アジア各地でみられた異常気象による災害を前に、減災についての意識の高まりが見られるようになってきた。世界では、災害を最小限に抑えるための研究が脚光を浴びている。河川の氾濫や土砂災害を減らす方法は、まちづくりとも密接に関わるため、自治体からの視線も熱い。

例えば、里山の整備。木々が根をしっかりと張る里山では、地盤が安定するため豪雨の時でも土砂崩れの発生を抑える働きが生れるというのだ。このように、MS&ADインシュアランスグループでは、大学、研究者などと連携し、自然の恵みを活かしながら防災・減災と同時に産業振興を行う「グリーンレジリエンス」の普及、情報発信に努めている。防災対策に力を入れる浜松市とは天竜美林を活用した産業振興や、都市の強靭化を通じて、地方創生を実施することを目的に全国初となる「グリーンレジリエンスの推進に関わる連携・協力協定」を結んだ。

被害を最小限に食い止めるBCPの普及。

個人の日常を守るためには、企業を守ることも必要だ。企業が倒れれば、そこで働く人はもちろん、取引先などへの影響も大きく出てしまう。非常時にいかに事業を継続できるか、対応の実効性を高めるための取り組みの一つ、BCP(Business Continuity Plan)の策定と、継続的な訓練の取り組みが求められるようになってきた。国内での意識が高まり出したのは2007年に起きた新潟県中越沖地震。激震が襲ったのは一部の地域だけだったにも関わらず、経済活動への被害は甚大なものとなってしまった。自動車のエンジン部品を供給する会社の工場が震災に見舞われた結果、部品の供給が滞り、納品先の自動車会社の工場が操業できない事態が引き起こされた。これが教訓となり、サプライチェーンのマネジメント(SCM)は事業継続に欠かせない要素として、一気に注目が高まった。

自分たちで必要性に気がつき、BCPプランを策定する会社もあれば、取引先からの要請により、BCP策定に乗り出す会社も出てきている。最近は、契約時の条件としてBCPの策定を要請するところもあるからだ。もはや、備えは取引先への安全を示す一つの指標。経営戦略と捉えて取り組む会社も増えている。このような状況を踏まえて、MS&ADインシュアランスグループでは、BCPプラン策定のための支援をはじめている。受発注、資材の調達や在庫の管理、配送計画など、災害時のリカバリー力を高めるためのコンサルタント事業を行なっている。また、BCPはお題目のように置いておくだけでは意味がない。プランを策定した企業が自分たちでBCP訓練を継続的にできるよう「自走化」の支援も実施している。

BCPセミナーの告知チラシ
BCPセミナーの告知チラシ
BCPセミナーの告知チラシ
BCPセミナーの告知チラシ

すべては、リスクを正しく知ることからはじまる。

こうした取り組みの基盤となっているのが、気候変動リスクの評価・分析に関する取り組みだ。MS&AD インシュアランスグループとMS&ADインターリスク総研は、東京大学と芝浦工業大学とともに気候変動研究プロジェクトに参画し、「気候変動による洪水頻度変化予測マップ(LaRC-Flood®)」を公開している。このような試みは、洪水だけにとどまらない。米国大手自然災害リスク評価専門会社と共同で開発した「津波モデル」を用いて従来の「地震リスク分析」に「津波による被害」を加えたコンサルティングを提供することや、株式会社ウェザーニューズと提携し、損保業界初となる「気象情報アラートサービス」の提供も実施。また、いち早くリスクを見つける取り組みに力を入れる一方で、それらの周知を図るべく、気候変動とSDGsをテーマとしてシンポジウムなども積極的に展開している。

すべては、リスクを正しく知ることからはじまる。
気候変動による洪水頻度変化予測マップ(LaRC-Flood®

一方で、そもそも地球温暖化の進行に歯止めをかけることができれば、懸念されているリスクは格段に小さくなるのも事実だ。そのため、MS&ADインシュアランスグループでは、太陽光・風力・バイオマス・水力といった再生可能エネルギー事業を取り巻くリスク評価やコンサルニーズに対応した各種サービスと情報の提供により、クリーンなエネルギーの普及にも力を入れている。また、これらの事業者をリスクから守るため、財物損害、利益損失、賠償責任など、総合的に補償する各種保険商品の販売をはじめた。リスクを軽減するための取り組みを全方位的に進めるMS&ADインシュアランスグループ。日本ナンバーワンの損保グループとして、リスクの先の先までを考え、一歩先行くガード策を示し続けている。

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